2008年4月アーカイブ

短歌雑誌「にしき江」の4月号に掲載された短歌です。

【ゆっくりと】

ゆっくりと時計の針が登りつめ吐息をついて降り始める

塩辛の小鉢にさし置く割箸は雪降る山の杉の香をもつ

雨だれは大地に着きて砕けをり穿たむ岩など目指しもせずに

ビジネスの本に挟まれた「桃太郎」書架より幼き声をあげゐる

鬼の居ぬあいだに豆は無くなりて役者のゐない面のみ残る


この5首は特選に選ばれました。
久々の特選ですねぇ。
嬉しいです。

私は、2種目の塩辛の歌が好きです。
雪の杉林を歩いていると隔絶された音のない世界に迷い込んだような錯覚を覚えます。
そんな風景を割箸に託しました。

短歌雑誌「にしき江」の3月号に掲載された短歌です。

【ルートファウンディング】

風吹けば凧をあげたき空となる少年の日の夢を甦して

新しくめくる暦よ如月にもっと働けといふ日のありぬ

地図になき道を探して歩くとき君の踏みあと道となりゆく

道なくばルートファウンディングするといふ君の後ろに吾は貼りつく

石蕗の花の数ふる陽だまりにリュックをおろしやはら陽をうく


山に行った時の歌です。
地図にも載っていないルートを進むのは大変ですよね。
そんな時、わたしは後ろから大人しく着いていくことにしています。

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